最近、聞きなれない墓じまいとは何なのかを話していきます。
墓じまいとは?
「墓じまい」とは簡単に言ってしまえば、現在お墓を守っている方が管理できなくなり、お墓を解体し、撤去し、更地に戻すことを言います。
先祖が眠るお墓から遠く離れた場所で家庭を持ち生活の基盤を築いていればお墓参りに行かれないのが現状です。
現在、「住んでいる地域へ檀家にお墓を移したい」このような悩みを抱えている人が多く、お墓を解体し、墓じまいするという選択肢を考えるケースが増えています。
また、高齢となり体の自由がきかずお墓参りができなく心理的負担になっていたり、金銭的、宗教的理由からお墓の維持管理を子供達が続けられないなどが挙げられます。
墓じまいの費用はどのくらいかかるのでしょうか?
墓じまいの費用ですが、お墓を解体し更地に戻すだけと安易にお考えですが、現在、埋葬されている遺骨を別の場所に移す「改葬」の作業費用も伴い、その費用も支払わなければいけません。
そのため段取りをしっかりと把握し行う必要があり、別途発生するであろう費用があるのをまずは知っておきましょう。
まとめると、墓じまいとは「今あるお墓を解体し無くすること」を指し、改葬を行うまえの工程と考えてもらえばわかりやすいかと思います。
墓埋法で無縁墓は1年間申し出がない場合に解体・撤去
知っておきたいのが「墓地、埋葬等に関する法律」で定められている墓埋法によると規定された行政手続き(官報への公告・墓地に立て札を立てる等)を行ない、墓所の使用者・縁故者から1年間申し出がなかった場合に無縁墓の解体・撤去ができるものとされています。
無縁墓に納められていた遺骨は、納骨堂や無縁塚などに改葬されます。
お墓に行った際に、墓地に寺院からご連絡を下さいと書かれた立札を見かけた事があると思いますがそれにあたります。
墓じまいの解体から改葬までの5ステップ手順
では、どんな手順で、墓じまいをしていけばよいのか、具体的にご紹介したいと思います。
1. お墓を解体する前に家族や親戚に必ず相談し理解を得て進める。
お墓に納骨されている遺骨には血筋に当たる親戚もいますので、解体する前に必ず相談をして了承を得て進める事が肝心です。
相談も無しで進めた結果、後にトラブルの原因にもなりかねますので、注意しましょう。
2、現在の墓地の管理者に「墓じまい」をしたい旨を伝える
寺院にお墓がある場合はただ単に住職が管理していたのではなく、先祖代々お墓を供養していると意識しています。
突然に離壇したい、契約を解除したいなどと伝えると寺院としてはいい気持ちでは有りません。
円滑に進めるためにも礼儀正しく相談することが必要です。
身勝手な進め方はトラブルのもとにもなります。
改葬許可を発行しない、高額な離壇料の請求などのトラブルも発生しています。
離檀料を支払わないからといって改葬を止める権利は寺院側にはありませんので弁護士を立てて話し合うケースもあり円滑事が運ぶように相談をすることです。
住職にこれまでの御礼を兼ねて挨拶をしましょう。
気になる離壇料は?
気になるのが「離檀料」ですが、一般的な相場は寺院の格やお付き合いの長さなどでも違いますが1回の法要で渡す額の2~3倍くらいが目安と言われ、5万円から20万円くらいです。
3.お墓を解体する前に遺骨の改葬先を決める
お墓を解体する前に遺骨の改葬先となる墓所を探して契約するのですが、どのような納骨方法にするのかも決める必要があります。
最近ではお墓の後継者がいなくても、墓地の管理者が将来に渡って供養・管理をする永代供養墓に人気が集まっています。
納骨方法は主に3タイプ
また、納骨方法にはおおまかに3タイプあります。
- 合葬墓タイプ 遺骨を骨壺から取り出し共同の納骨室に納める。(合葬式墓地)
- 集合墓タイプ 遺骨を骨壺か納骨袋に入れた状態で、共同の納骨室に納める。
- 個別墓タイプ 個人や夫婦や家族などの単位で、墓地の1区画を使用する。
改葬先を探す際は宗教・宗派、管理方法、費用、交通アクセスなどを確認して探しましょう。
費用の目安
- 合葬墓タイプで1人5万~20万円
- 集合墓タイプで1人10万~40万円
- 個別墓タイプで1人30万~150万円
くらいが相場でしょう。地方や都市など場所に寄っても違いは出てきます。
4. 申請・発行手続き
墓じまいの為に、解体し更地にするのですが、遺骨を別の場所に移す「改葬」は、現在の墓地がある市区町村の役所が発行する「改葬許可証」が必要になります。
申請などの手続きは自治体によって異なると思いますので、見落としが無いよう確認する事が重要です。
手続きの流れ
- 改葬先墓地 「受入証明書」(墓地使用許可証)の発行
- 現在の墓地がある市区町村の役所で「改葬許可申請書」をもらう
(自治体ホームページから申請書をダウンロードできます。) - 改葬許可申請書に必要事項を記入。
「埋蔵(埋葬・収蔵)の証明」現在の墓地の管理者からもらう墓地管理者の署名・捺印は必須 - 現在の墓地がある市区町村で「受入証明書」と「改葬許可申請書」を提出
受理されると、「改葬許可証」が発行される。
5. お墓を解体し遺骨を取り出し、改葬先に納骨
墓地から遺骨を取り出し墓石を解体し撤去します。
墓所を更地にして管理者に返却します。その際、注意する事があります。
石材店を自ら探し石材店に解体を依頼出来る場合と、寺院や霊園など管理者が指定する石材店がある場合がありますので必ず住職、管理者に聞き依頼をしましょう。
墓地の解体費用
墓地の解体費用は1m2あたり7万~20万円くらいが目安ですが、墓地の立地状況によっては重機の搬入が難しい場合は手間がかかり、費用がかさむこともあります。
遺骨の取り出し費用
遺骨の取り出し費用は、1遺骨あたり1万~5万円が相場でしょう。
そして、改葬先に埋葬ができ、そこが寺院墓地であれば納骨法要などを行ないます。
これらが「墓じまい」から「改葬」までの流れとなります。
「墓じまい」は「改葬」費用も伴い納骨方法によっても費用が異なる
お墓を解体し更地に整地し改葬先に納骨まで「墓じまい」についてお伝えしましたが、改葬のしかたでも異なりますので、どのような費用が発生するのか確認しください。
マラソンで言えばどのようなゴールを描いて到達点まで進むのか、ゴールした先は、、、
先祖代々のお墓を守る人がいなくなるのはとても寂しいことですが、お墓を閉じても永代供養墓であれば住職、管理者が守ってくれますし先祖とのご縁や絆を大切にしたいものです。