ある日突然、愛する家族が亡くなった。ショックで呆然とする暇もなく、通夜、告別式と慌ただしく過ぎ、ひと段落した後にやってくる「遺品整理」。
現代のライフスタイルは、ご遺族だけでそれを支えて行うには、時間もない、人手もない・・今回はそんな時に知っておくと役立つ情報をお伝えします。
遺品整理方法と時代の流れ
- 「 “故人を忘れ去ってしまうのでは”、という寂しさや恐怖におそわれて、思い切った遺品整理ができない」
- 「思うよりもたくさんの遺品に囲まれ、どのように進めていいか解らない」
- 「賃貸を引き払うため、葬儀で疲れ切った身体や心に鞭打って進めねばならない」
遺品整理とは本当に悩ましく、たくさんのエネルギーが必要なことかも知れません。
たとえば遠方に住んでいた人の遺品を整理しに、会社を休んで電車を乗り継ぎ、出かけていくことも必要になることだってあるでしょう。
また、別居している親族が亡くなって、その方が賃貸住宅に住んでいた場合、物件を明け渡さねばならないこともあり、時間が限られてしまうこともありますよね?
そんな時に自分だけですべてを抱え込むことほど、つらく無情なことはないと思います。
そういう場合に「誰かに手伝ってもらう」という方法も検討してみてはいかがでしょうか。
人生の中で、そう何度も経験することではないと思われる遺品整理。事業者の選び方について、ポイントをお伝えしたいと思います。
遺品整理の費用はどのくらいかかるもの?
遺品整理業は全国に約9,000の事業者があります。業界自体がまだまだこれから法整備などを確立していく、ということもあり、適正な内容を行っている事業者であるか、という審査基準に照らしてクリアした事業者はそのうち300社程度、とも言われています。
- 最初にもらった見積の金額と大幅に異なった請求書が来た
- 廃棄を依頼したものが不法投棄されていた
- 処分依頼したものがリサイクルショップで売られていた
などのトラブルで、悲しい思いをするご遺族が後を絶たないのが実情なのです。
このことを考えると「内容が明確な見積」を「数社から取り寄せ」、「その事業者の実績や人となりなどをよくよく吟味してから依頼する」ということが必要になってきます。
内容については、全部お任せにせず、処分についてはこうしてほしい、という明確な意思表示をし、納得ができ
るまで説明を受けるとよいでしょう。
また、見積を数社から取り寄せるために、遺品整理士認定協会の事業者を紹介するサイト
もありますので、そちらを検討することも得策と言えるでしょう。
遺品整理士がいる会社を選ぶ
遺品整理に「客観的に」「遺族の意図を組んで」「粛々と」行う。今、そういうことを生業として、仕事をしてくれる資格を持った人たちがいることをご存知でしょうか?
それは映画「アントキノイノチ」で話題となった、『遺品整理士』です。
遺品整理士とは
故人の遺品を整理するのはご遺族の手によるのが一般的でしたが、現代のライフスタイルにおいて、それが時間的にも人手の面でも難しく、ご遺族だけでは支えきれないのが実情、という時代背景もあり、事業者のモラル低下を是正することを理念とし、業界の健全育成を図るために作られた、「一般社団法人 遺品整理士認定協会」が資格試験を通して認定している資格。
「供養」「廃棄物やリサイクル品の取り扱いに関する法令順守」など、心のケアであるソフト面と、行政や関連機関との調整などのハード面の知識を兼ね備えた人材の証でもあります。
行政も、遺品整理士に優先的に仕事を斡旋する流れとなってきています。
遺品整理を依頼する時に、混乱し疲れ切った状況の中で、「何を」「どのように」「いつのタイミングで」「どのように」など、適切に判断することはとても難しいかと思います。
そんなときに、費用や整理するポイントを親身になってアドバイスするための知識を備えている、という方が居てくれたらどんなにか心強いですよね?
遺品整理士は認定資格ですので、持ってないと仕事ができないという性質のものではありませんが、遺品整理は便利屋さんの片付けのように、「とにかくテキパキと、短時間で効率よく片付ける」性質とはわけが違います。
遺族の気持ちや何を遺しておきたいか、などの気持ちに寄り添って適切なアドバイスをしながら、一緒に整理を行ってくれる方、という認識で良いでしょう。
遺品整理を依頼するにあたり、この『遺品整理士』がいる会社を選ぶ、というのもひとつの基準として覚えておくとよいと思います。
遺品整理はいつ行うのがよいか?
故人を失った悲しみに加え、その人が愛用していたものや家財を整理することは、ご遺族にとって大きな負担となる場合もあります。
とはいえ、遺品整理を行う時期を逸してしまうとずっと片付かないままになることもあります。
遺品整理は「ご遺族が整理しよう」という気持ちになった時に行うのが一番です。
持ち家、賃貸でそれぞれ時期も異なりますが、実施する目安があれば、区切りもつけやすくなるのではないでしょうか。
その参考になさってください。
- 四十九日、一周忌、三周忌などの法要のあと
- 亡くなった後の手続きがすべて終わったあと(年金支給停止、国民健康保険廃止など)
- 賃貸契約に合わせ、月末日もしくは翌月末日
- 葬儀終了後すぐ
すぐに行ったのでは故人に申し訳ない、などの気持ちが起きることもありますが、決して葬儀終了後すぐに行ったからといって、失礼になるわけではありません。
大切なのは「故人を偲ぶこととご遺族の今後の人生に一区切りをつける」ということです。
この記事が遺品整理の一助となれば、幸いです。